映画「Winny」(著作権法違反幇助/職業柄 鑑賞必須の映画)/東京楽天地株主優待
星4つ ★★★★ 2023年 株主優待鑑賞15本目
自分の中では、当時の歴史にどっぷり浸れ、感情移入でき、最高の感動が得られたので★5個にも該当する素晴らしさだった
リアルタイムに、winnyが出現した時代を知的財産部で過ごしており、P2Pソフトとして、ナップスターが出てきた衝撃、周囲がwinnyを使って音楽や映像の違法交換を行っていた時代を知る自分としては、鑑賞は必須の映画だった
あらすじ
2002年、開発者・⾦⼦勇(東出昌⼤)は、簡単にファイルを共有できる⾰新的なソフト「Winny」を開発、試⽤版を「2ちゃんねる」に公開した
彗星のごとく現れた「Winny」は、本⼈同⼠が直接データのやりとりができるシステムで、瞬く間にシェアを伸ばしていく
しかし、その裏で⼤量の映画やゲーム、⾳楽などが違法アップロードされ、ダウンロードする若者も続出、次第に社会問題へ発展していく
次々に違法コピーした者たちが逮捕されていく中、開発者の⾦⼦も著作権法違反幇助の容疑をかけられ、2004 年に逮捕されてしまう
サイバー犯罪に詳しい弁護⼠・壇俊光(三浦貴⼤)は、「開発者が逮捕されたら弁護します」と話していた⽮先、開発者⾦⼦⽒逮捕の報道を受けて、急遽弁護を引き受けることになり、弁護団を結成
⾦⼦と共に裁判で警察の逮捕の不当性を主張するも、第⼀審では有罪判決を下されてしまう…
しかし、運命の⽷が交差し、世界をも揺るがす事件へと発展する――
なぜ、⼀⼈の天才開発者が⽇本の国家組織に潰されてしまったのか。本作は、開発者の未来と権利を守るために、権⼒やメディアと戦った男たちの真実を基にした物語である
感想
winnyが出現した時代をリアルに経験し、ファイル交換ソフトが著作権法違反の幇助となるか、、という時の話題に触れていたが、著作権法が専門ではないし、事件の結末はほとんど記憶に無かった
この映画を観て、理工系の技術者、法律関係者、そうでなくても日本を世界を良くしようとして日夜開発にしのぎを削っている全ての人に観てもらいたい映画だと思った
GAFAMに代表されるI系企業の開発能力は素晴らしいが、日本にも金子さんのように純粋に便利な世の中を提供したいと、新技術を開発している能力がある人がたくさんいると思う
映画中の描写で分かり易いのは、「包丁で人を刺した人は逮捕できるが、包丁をつくった職人は逮捕できない」
まさしく、世の中をよくする物や技術を開発した人は、悪意を持った人がその物や技術を悪用しても、開発者は悪くない
幇助の概念は、法律に触れている人でないと分かり難いかもしれないが、金子さんが無罪になるのは当然であり、世界的な潮流である
イノベーションをもたらす者の、ミスや過失をあげつらい、再起不能になるまで叩く
そんな光景が日本では普通に行われてきた
日本では「天才が大成しない社会」と言われ、優秀な人材の欧米の流出も懸念されるようになった
法的な悪さ、違反は厳しく取り締まらなければならないが、世の中をよくしたいと純粋に考えている開発者には自由な発想で伸び伸びと活躍して欲しい
この映画のポイントは、とにかく分かり易い
winny事件を知らなくても、法的なバックグランドがなくても、全くの素人でも、とにかく全て理解できるだろう
日本社会では、出る杭は打たれる・・・、そのことを引き合いに出しているが、米国のように自由な発想の起業家、技術者が出てくれば、、
この事件も金子さんが有罪になれば、日本の技術者が委縮してしまう、金子さんと壇先生は技術者の未来と権利を守るべく戦っていた
また最後に、金子さんご本人の映像、ビデオが流れるが、金子さんを演じた東出昌大さんの熱演が素晴らしい
本作のために18キロも増量したという見た目の変化も含め、もはや“怪演”という言葉がふさわしい程に、金子さんご本人の雰囲気に似ていると思った
なお、金子少年が、子供の頃に NEC PC-8001でプログラミングをしていたのは、当時のNEC PC-8001人気を知る人間にとっては最高のシチュエーション
また自分も技術者の端くれとして、世界をよくしたい、山があるから登という技術者魂には感慨深いものがあった
いつもは相方と二人で株主優待で映画を鑑賞するが、今回は相方が東出昌大さんは嫌いで主演映画は観たくないというリクエストで、一人で観たが、観てこれほど感動するとは思わなかった、観てよかった!!